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2018.11.26

小児科疾患についての講義を受けてきました。

昨日、母校であるIGL医療福祉専門学校で開催された、広島大学医学部小児科の郷田聡先生による「日常診療で診る小児科疾患」を受講しました。所属する広島県鍼灸マッサージ師会主催の研修会で、会員の郷田先生のお兄様であったことから実現した研修会です。

小児とは一般に新生児~中学生までだそうですが、小児科とは、小児内科のことで、小児の総合診療科と言われ、細分化されている大人と違って守備範囲がとても広いです。場合によっては生まれてくる前からの出生前診断に始まり、慢性疾患の患者様は大人になられてからも小児科にかかられることもあるそうです。子どもの神経は、10歳で大人並に成長をし、リンパ系はある時期では大人の2倍の数値があり、その時期にアデノイド、扁桃腺炎などを発症したり、いびきや睡眠時無呼吸になるお子さんもいらっしゃるとのことでした。特に小さいお子さんの疾患は、進行が早く、重症化しやすいが、臨床症状にとぼしかったり、症状を訴えることが難しかったりするため、泣かさず、触れる前の第一印象で評価し、その後詳細な問診や検査、正確な診断が必要になってきます。

例えば、生後1か月~2か月の赤ちゃんが38度以上の高熱で来院した場合、10人に1人の割合で重大な病であることがあり、注意深く診ているそうです。

子どもは大人のミニチュアではなく、年齢によって身体の形態、機能が大きく変化するため、年齢ごとに疾患が異なること、成長に応じて疾患の好発年齢があること。

診察室に入ってきた様子、顔色、状態を即座に判断しながら、問診開始、場合によっては処置からすすめていくこともあるそうです。お子さんが発熱した時、脱水症状を防ぐために「ポカリを飲ませています」というお母さんが多いとのことでしたが、脱水症状には、ナトリウムと浸透圧が大事で、ポカリなどは、そのどちらもOS-1などの経口補水液より低く、逆に糖質が多いため、浸透圧性の下痢を起こすことがあり、良くないのだそうです。子どもの体液は大人に比べて身体に占める割合が高いため、変動により体調変化を起こしやすいのだそうです。

また、病院で注射などに使う針と鍼灸で使う鍼の違いということで、実際にサンプルを見せていただきました。私たちが日常使う鍼は、お顔に使う美容鍼の0.10ミリ~0.34ミリの太さのものを部位や体調、体質別に使い分けますが、病院で使う針は薬液を注入するため中空になっており、0.4ミリ~1.2ミリと太い針とのことでした。

スライドで、手足の皮静脈になぞらえて、鍼灸の経絡と対比して見せていただき、手の掌側にある、橈側皮静脈、前腕正中皮静脈、尺側皮静脈が、手の太陰肺経、手の厥陰心包経、手の太陽小腸経などに近く、良く注射をされていた場所は、肺経の尺沢当たりだったんだなあと思いながら、時に血管に鍼先が触れて内出血(青あざ)が出来ることがあるので、気を付けたいと思いました。

各感染症についてや次女の持病である気管支喘息の重症度や日常管理について、アトピー性皮膚炎について、定期予防接種について等、子どもが良くかかる、発症する疾患について学びましたが、私が特に興味深く聞いたお話は、「急性脳症」についてです。

感染を伴う急速で広範囲な非炎症性の脳浮腫で、0歳~3歳に多く発症し、インフルエンザ脳症、ロタウイルス脳症、突発発疹性脳症が3大脳症と呼ばれています。以前は致死率3割とかなり高かったそうですが、今は6%程度に下がったとはいえ、まだまだ高いそうで、神経学的な後遺症は36%とのことで、突発性発疹をはじめ、どの子も大抵かかる病気から、脳症に移行してしまった場合は、本当に恐ろしい病気だと思いました。

また、最近巷で話題の、風邪薬のエビデンスはない、というお話、逆に鼻水のお薬などを安易に飲むと、治癒期間が長引くこともあるそうです。

「隠れインフル」というマスコミから話題に上がった言葉もあり、インフルエンザは早い段階で社会的影響がある病気となっているが、実際はタミフルを飲んでも24時間ほど、飲まない人よりも熱などの症状が短くて済むという結果があるそうです。とはいえ、インフルエンザの予防接種は受けておいた方が良く、子どもが接種して感染を減らすことで、高齢者の発症が減り、インフルエンザの感染が元で亡くなる方も減るためだそうです。また、気管支喘息など慢性疾患を持っている方、高齢者など、インフルエンザにかかると重症化する恐れのある方も受けておいた方が良いそうです。

アレルギー疾患においては、3大アレルゲン食物である、小麦、卵、牛乳など、なるべく遅くから食べさせた方が安心で、アレルギーが発症しにくいと言われてきたが、最近では食べて治す、経口免疫療法と呼ばれる療法もあり、食べ物を遠ざけるよりも身近に少しずつ取り入れていくとアレルギーを発症しにくいという考え方もあるそうです。慎重に行っていきたいとは思いますが、大変興味深いお話をお聴きすることが出来ました。

私たち鍼灸師が、お子様の小児はりなどをさせていただく際にできること、に対しての問いは、虐待に関しては、注意して見ておいてくださいとのことでした。身体のあざだけではなく、季節外れの服装をしていたり、異常に虫歯が多い場合はネグレクトの可能性もある、とのことでした。

講義が終わった後、これからお母さんになる女性、お子さんのいらっしゃるママさん、お子さんが独立した方にとっても、子どもの生態や疾患についての知識は、身体と心を守るために知っておいて損はないと思うので、もっと多くの方に聞いてほしかったと思う、素晴らしい講義でした。