診療のご案内
野球肩・肘・シンスプリント
Baseball shoulder / Baseball elbow / Shin Sprint
野球肩
野球肩とは、野球の投球動作の他、テニス・バレーボールのサーブ・スマッシュ等、腕を大きく振る動作を繰り返すスポーツで生じる肩の痛みのことです。
特に野球は、肩関節痛を生じる頻度が一番高いです。
関節包や、肩関節に付着する腱や筋、あるいは骨の損傷によるもので、損傷の部位によって、肩の前方、または後方、時には上腕が痛みます。
過度な投球動作が原因となることが多いですが、体幹や股関節の柔軟性不足、肩や肩甲骨周囲の筋力不足、不適切な動作フォームなど、様々な体の要因も絡んでいます。
野球肩の種類
野球肩の原因や損傷は多岐に渡ります。
インピンジメント症候群
野球肩の原因で多いのが、インピンジメント症候群。肩を使うたびに、肩峰や靱帯に上腕骨頭が衝突することにより、腱板がはさまれ、肩峰下滑液包に炎症を起こし、肩が痛む。症状としては、肩を上げていくとき、ある角度(70〜120°)で痛みや引っかかりを感じ、それ以上肩を挙上できなくなる。このような症状がインピンジメント症候群の特徴である。
リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)
少年野球選手の肩の痛みは、リトルリーグショルダーを疑う必要があります。
成長期の投球障害で、投球時や投球後に肩の痛みを訴えます。子どもの骨の端には、骨を形成する細胞が密集する成長線という軟骨(成長軟骨)がありますが、骨に比べて強度が弱く、過度の投球による負荷で損傷し、上腕骨の肩の部分の成長軟骨(骨端線)の離開(骨端線離開)が起こって痛みが表れるスポーツ障害です。放置しておくと痛むだけでなく成長障害にも繋がる可能性もあります。
当院では投球開始まで姿勢調節・肩関節の可動域訓練・体幹強化など、いつでも投球できるような体作りを行います。
再発しないようフォーム指導も行います。
野球肘
野球肘
投球障害肘とも呼ばれ、成長期にボールを投げすぎることで生じる肘の障害を野球肘といいます。
内側型、外側型など部位による分類、原因となる外力による分類などがありますが、肘のどの部分が、どのように障害されているかを理解することは大切です。年齢によって壊れやすい部位が変わり、同じ外力でも壊れる部位が違うので、成長期と成人では障害がかなり違います。
成長期型野球肘
骨端線が閉鎖する前か閉鎖途上の障害で、骨端や骨端線を中心とする骨軟骨障害です。外から力が加わったときに最初に壊れる部分を最脆弱部と言います。肘には小頭、上腕骨外側上顆、内側上顆、滑車、橈骨頭、肘頭と6か所に骨端があり、いずれも障害される可能性がある脆弱部です。
リトルリーグエルボー
最も多いのは内側の部分(上腕骨内側上顆)の障害で、「リトルリーグエルボー」と呼ばれるものです。内側の突出した骨の下が痛み、曲げ伸ばしが制限されます。治療は痛みのある期間だけ投球を中止することです。バッティングは痛みがなければ許可します。野球そのものを休止するのではなく、投球を休止するという考えです。ストレッチをしっかりとし、痛みの出ない投球フォームを習得する事が大切です。
離断性骨軟骨炎
成長期野球肘のなかで、最も厄介なのは、肘外側の上腕骨小頭障害です。上腕骨小頭の関節面が離断し、遊離体(関節ネズミ)を形成して、関節炎を伴うことから、一般的には離断性骨軟骨炎と呼ばれています。しかし離断するのは進行してからのことで、発症初期に適切な対応を受けた場合は離断せずに治癒します。離断性骨軟骨炎は、初期は痛みがないことが多く、気づいた時には進行していることが特徴です。
離断性骨軟骨炎を発症した時には、ほとんどが内側上顆の骨端障害を合併しているので、肘の内側に痛みが出たときは、速やかに専門医で検査を受けましょう。病院でこの障害の診断を受けたら、ランニングは可能ですが、上半身の運動は(投球、ウエイトトレーニング、バッティング)禁止で、食事の箸と鉛筆以外は腕を使わないことが大切です。
成人型野球肘(高校生以上)
成人型野球肘は、骨端線が閉鎖した高校生以上の障害です。この時期からは肉離れ、靭帯の変性断裂、尺骨神経炎などが増えます。しかし、骨軟骨障害がなくなるわけではなく50%くらいは骨軟骨障害です。当院では、投球開始まで姿勢調節・肩関節の可動域訓練・体幹強化など、いつでも投球ができるような体作りを行います。患者様のADLや競技に応じて更にリハビリを進めていきます。再発しないようフォーム指導も行います。
シンスプリント
シンスプリントとは、つま先を上げるときに使う筋肉を過剰に動かすことで起こる障害で、陸上の短・長距離、サッカー、バスケットボール、バレーボールなど、ダッシュやジャンプを繰り返すスポーツをしている人に多くみられる症状のことです。
ひざから足首の内側の脛骨という太い骨に炎症が起きます。足首から3分の1に痛みが発生するという特徴があり、うずくような鈍痛で始まります。ある一点に痛みが集中する疲労骨折とは症状が異なります。
シンスプリントの原因
つま先を上げるときに使う筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)を過度に使うことで、筋肉に付着する骨膜に炎症を生じて発症します。硬い地面で繰り返しランニングしたり、シーズンの始めなどでハードなトレーニングを急激に開始したりしたときなどに発症する場合もあり、ランナーに多くみられます。(新入学時期の部活動生にも多い)
また、足に合わない靴、クッション性のない靴、筋力不足、筋肉の柔軟性不足、扁平足(へんぺくいそく)、O脚も原因の一つです。
治療方法
シンスプリントは運動休止してから競技復帰までのリハビリが非常に重要です。
最初の段階は運動を休止し、体幹トレーニングや足部アーチを支える筋肉のトレーニングなどを積極的に行います。
疼痛が消失してからすぐに競技復帰するのではなく、運動強度の低いものから段階的に行っていくのがポイントです。
当院では受傷から競技復帰までの経過を症状に合わせて、リハビリを組み立てていきます。