診療のご案内

安産・逆子・つわり

an easy delivery / Inverse child / Morning sickness

安産

逆子の鍼灸治療や養生法そのものが、安産に結び付く療法です。
なかには、鍼灸治療や、ご家庭での養生、セルフケアで逆子がかえっても、生活習慣が元通りになったり、セルフケアをやめてしまうことで、再び逆子に戻る方もおられます。順調にマタニティライフを過ごしている方も、体重の増加や立ち方・歩き方のバランスの変化から、腰痛になったり、お産に進まず予定日超過となり、帝王切開での出産になる方もおられます。

腰痛になった場合

  • 自宅でのお灸
  • 骨盤ベルト等での骨盤の支持
  • 腹巻き、レッグウォーマー等での保温
  • 足浴や入浴、ホットタオル、カイロ等での加温
  • 定期的に横になり身体を休める、お仕事をしている人は、トイレに行ってストレッチをしたり、座り仕事の方はお腹や腰にクッションを入れ、楽な態勢を保つ。

等の養生をしつつ、鍼灸治療では、強い刺激は避け、最小の鍼灸の刺激で筋緊張の緩和をし、腰痛緩和を図ります。

予定日超過

妊娠37週~41週6日が正期産で、過ぎると予定日超過といい、出産のリスクが高くなります。

赤ちゃんの体重が2500gに達しており、医師が出産OKの判断をされている場合、子宮頚管の熟化を目指して、安産のお灸と養生をしてもらったり、安産のお灸の施術を行います。

お産まで、ご自分でご家庭でできる、養生法、安産のお灸を続けることで、妊婦さんのマイナ-トラブルを避けることができ、安産につながります。

逆子(骨盤位)

妊娠後期には、胎児の頭は恥骨の方にあり、臀部や足はお腹の上方にある『頭位』(正常位)となる場合が多く、『頭位』の方が、スムーズに生まれやすいとされる。逆に頭がお腹の上方にあったり(骨盤位)、臍(へそ)の横にあったり(横位)する場合は、分娩時間が長引くなど母子ともに危険な状況となることがある。医学的に骨盤位(逆子)という。
逆子になる原因は、諸説があるが、大部分は原因不明と言われる。

来院される逆子のお母さんの大半に「足先の冷え、腰痛、肩こり」などがあることがわかっています。また、お仕事、上のお子さんの育児疲れ、貧血、冷え、引っ越し、結婚式、仕事引継ぎ、多忙、スマホの見過ぎなどで骨盤内の血流不足を招くと逆子になりやすいので、生活改善が必要です。

立ち仕事や、同じ姿勢でのお仕事(PC業務など)を予定日の近くまで続けられることで、疲労がたまっていたり、冷えが強く、血行が悪くなっているお母さんが多いです。

問診では、母子手帳を持参していただき、これまでの経緯、トラブル・疾患の有無などをお書きいただいて、お話をうかがっております。
子宮奇形、狭骨盤、子宮筋腫、前壁胎盤、臍帯巻絡、羊水過少、羊水過多などの場合は逆子が帰りにくいといわれています。
お話をうかがって、医師の許可をお願いしたり、安全を期して行うため、お受けできないこともあります。(前・低置胎盤の方は、医師の許可が必要です。医師から安静の指示が出ているか、子宮頚管長は十分あるかなど、張り止めの薬が一日3回出ている場合は当方からの出張施術になるか、ご家族の運転の来院をお願いしております。)
24週、25週で逆子を指摘されたお母さんには、ご自宅での安産灸のやり方をお教えしています。
脈診・腹診・舌診を行い、妊婦さんの体調を把握して、冷えや腰痛、その他のマイナートラブルに対して、根本的な鍼を施し(足に鍼をすることがほとんどで、お腹に鍼を施すことはありません。温めるお灸は施すことが多いです。)至陰(足の小指の爪の外側の角)にお灸、三陰交に鍼とお灸を行い、肩こりなどの局所鍼灸を行うこともあります。

逆子の鍼灸治療の機序

下肢に鍼灸をすることで、下肢血流が改善し、下腹部、子宮血流が改善した結果、回転しやすくなるといわれています。

下肢のツボに鍼、お灸の刺激を与えることで、脊髄性の自律神経反射が起こり、子宮筋の緊張が緩和し、子宮の収縮が起こりやすくなったり、胎児の胎動が増加し、自己回転を起こしやすくする。とも言われています。

写真:至陰へのお灸
至陰へのお灸

チリッとすることがありますが、我慢できないほどの熱さではありません。

写真:台座灸
台座灸

ご自宅ではワンタッチでできるお灸を使ってセルフケアをしていただいております。

写真:三陰交への灸頭鍼
三陰交への灸頭鍼

冷えが強い方に疎通が良くなる灸頭鍼を三陰交(内くるぶしから指4本分上、骨際)に鍼をし、鍼の柄の部分に丸めたもぐさを着け、燃やし温めます。灸頭鍼によって火傷をすることはありません。

鍼の量、お灸の量は、その方の体調を良く見ながら、刺激量を調節しています。

28週から30週での来院の場合、1回でかえる確率は約50%といわれています。2回目、3回目でかえる方もおられますが、2回目の鍼灸でかえらない場合は、臍帯巻絡や子宮筋腫など物理的原因であることが多いです。33週以降でご来院された場合、かえるのが難しい場合があるので、診断を受けたら、早く治療を受けることが肝要です。34、5週のお母さんにも、「逆子を治す」だけの目的にとらわれず、お母さんの体調を良くすること、元気な赤ちゃんを産むことに照準を合わせた鍼灸をすると、結果、逆子がかえっていることも多いです。経産婦さんは37週でもかえることがあるので、諦めずに身体を作っていくことで功を奏します。赤ちゃんはでんぐり返しの態勢を取り、頭位にかえります。お母さんの身体の負担が少なくなると、お灸、養生の効果が出てくるので、鍼灸や養生を続けることが大切です。

初診時に、養生法をお伝えし、ご自宅でのお灸の方法をお伝えして、積極的にすえていただいております。赤ちゃんが良く動く時間帯にお灸をすることによって、動いてもらうようにします。病院で指導されている寝方、体の向きは、赤ちゃんが良く動く寝入りばな30分だけしてもらったら、あとはリラックスしてしっかり休みましょう。

身体が温まり、安産に結びつく治療ですので、産婦人科で「逆子」といわれたら、鍼灸治療を選択していただけたらと思います。

逆子の治療開始時期

胎児は、早期から子宮の中で自己回転をしていますが、28週位になると頭が恥骨側である、『頭位』で安定するようになります。病院で『逆子ですね』と告げられるのは、27週から28週くらいであり、初診が32~33週くらいまでは、鍼灸治療による回転率は高いとされています。当院では、27~28週で『逆子』とわかったら、出来るだけ早期に、鍼灸治療を始めることをおすすめします。(32週までの鍼灸受診をおすすめします。)

逆子で来院されるほぼ全員の方に、冷え、浮腫みが見られます。また、疲労がたまっておられたり、歩いて、しっかり身体を動かした方が良いと、スクワットなどの体操までされている方もおられます。治療の前にお話をお聴きして、治療後に、今後の養生法などもお伝えしています。

まずは、妊婦さん自身の体調を整えることが大切で、その延長線上に、赤ちゃんがくるっとかえりやすい環境が整うと考えて、鍼灸治療を行っています。

  • 冷やさない服装
  • 冷やさない食生活(甘い物や冷たい物の多飲多食は避ける)
  • 家事やお仕事以外は、出来るだけリラックスして過ごす。
  • 疲れすぎない(逆子の場合、ウォーキングは控えめに)
  • ご家庭でのセルフケア(至陰、三陰交へのお灸)
  • あぐらをかいて座るのを避ける(赤ちゃんが骨盤にはまりやすい)
  • 鍼灸治療を受ける。

これらをぜひ取り入れてくださいね!

つわり

妊娠5,6週ころから12週ころまでの妊婦さんに起きる消化器症状を伴う現象。妊婦さんの50%から80%にみられますが、全く症状が出ない人もいて原因はすべて解明されていません。悪心、嘔吐、食欲不振、船酔いや二日酔いのような症状、よだれづわり、味覚異常、食べづわり、便秘、倦怠感、疲労感、頭痛、耳閉感、眠気、においに敏感になるなど、様々な生理学的変化が見られます。

妊娠によって、HCGやプロゲステロンなどのホルモンが上昇すると、体の平滑筋が弛緩する。これが胃や血管の平滑筋に作用することによって様々な症状を引き起こします。

妊娠がわかったら、産婦人科で胎児心拍などの検診を受け、正常妊娠であるかを診断してもらいます。特につわり症状がひどい場合は、「妊娠悪阻」か否かの鑑別が必要です。妊娠悪阻の場合は、入院安静が必要となり、鍼灸治療の適用外となります。

つわり症状の時の養生法

  • 脱水予防のため、こまめに水分をとる。
  • 妊娠初期は胎盤を育てる時期なので、骨盤の血流を良くするため、冷やさない。足浴などで、足全体を温める。
  • つわりがある場合、背中がガチガチに張っていることが多いので、ホットタオルなどで背中を温める。
  • お仕事や家事など、無理をしない。オ-バ-ワ-クはNG。
  • 食べられる量を食べられる時に食べる。クラッカ-などパサついているものが、胃液を程よく吸ってくれて良い。
  • つわりを精神的に受け入れ、長引かせないようにする。周りの人にも理解してもらう。
  • 養生にお灸を取り入れる。

などです。当院では、妊娠悪阻ではないつわり症状に対しての鍼灸治療を行います。妊娠初期のため、慎重に、妊娠継続を最優先にして、お灸を中心に施術を行います。ご自宅でのお灸も、出来る方にはしていただいています。